後悔@京都旅行
身体が悲鳴を上げるほど寒い日、私は京都でうどんを食べる機会に恵まれた。
13時頃にもかかわらず、店の外で待つお客さん。その列には外国人もいることが確認できた。
私は肉カレーうどんを注文。店内の出入りで風が当たるところで頂くことになった。
料理を注文してから現金払いだと気が付き、慌てて財布を確認。
まぁ、問題なく入っててよかった。
味は美味しい。出汁の効いたカレーで体が温まる。
「うまいなぁ~。そうはいっても寒いなぁ。」
なんて思っている昼ご飯だった。
その時である。
比較的近くで「キャッシュオンリー」の声が聞こえた。
店員と外国人がどうやら困っているようだった。
英語で話すお客に対して、日本語で対応する店員。
外貨も使えないし、キャッシュレス決済にも対応していないと知らずに入ったのだろう。異国の地でのトラブルは本当に困る。
英語が聞き取れて困っている内容も把握した。
人助けをするタイミングが訪れたということである。
こういったシチュエーションというのは、何度も妄想して備えてきた。
男性の方なら共感していただけるだろう。
男というものは、教室に犯罪者が現れた場合にクラスメートを助ける妄想をする生き物なのである。
財布を持って立ち上がろうとした。
台詞に関しては頭の中に台本がある。
なにも恐れることはない。
が、立てなかった。
「助けに行きますか」と独り言をつぶやいたのにも関わらず、である。
そうこうしているうちに外国人に対して「外貨両替機に行ってきてくれ」と店員が日本語で頼んだ。
笑ってしまった。
笑う立場でもないのに。
私がすぐにお金を渡せば解決しただろう。
だが現実は、その外国人2人と店員が外に出て外貨両替機を探しに行っている。
そしてしばらく帰って来ず、帰ってきたかと思ったらまた外に出た。
食べ終わった私は彼らよりも先に会計を済ませ、外に出た。
寒空の京都で後悔を背負って歩く自分が情けないと思う。
せめて彼らが京都旅行を楽しんでくれればと思う。
{おしまい}
いつも読んでいただきありがとうございます。
その後の電車でも親子に席を譲れませんでした。
こうやって後悔を積み重ね歩いていく。。。